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その言葉に、少女――キルフィンは露骨に心外だと顔に表わした。
「わらわは、わらわが行きたいと思った場所にただ赴くだけだからのう。そちがそう思うなら、そちが遠慮をして場を弁えよ。摩れば会うことはあるまい?」
「なんで私が、あんたにいちいち遠慮しなければならないのよ! あんた見たいな一国の王女は、本来ホイホイ色々な場所に首を突っ込める身分じゃないでしょうが! だからあんたは、皮肉を込めて“自由皇女”とか呼ばれてんでしょうが!」
「そっ……そうじゃったのか。何故か、皆がわらわを自由王女と称えるのは、わらわのこの溢れんばかりの自由を愛する心根を感じ入ってかと思っておったぞ」
キルフィンの言葉にゴスロリ少女は地団駄を踏むと、睨みつけて指を突き付けた。
「あんたのそのマイペース加減には飽き飽きだわ。今回は私が主導権を握る。こいつは私が貰っていく!」
「それは聞き入れてはやれんな。こやつはわらわの下僕と言ったぞ? そなたにくれてやる道理はない」
キルフィンの威風堂々とした佇まいに乱れはない。
その言葉に何の疑問も無いのだろう。
だが、一つだけ言いたい。
俺の人権は?
完全に当事者の俺を無視して、二人は勝手に俺の所有権を主張する。
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