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「貴女との話し合いは本当に無駄ね! 時間の浪費よ! ここは実力で捩じ伏せる!」
「面白い。やってみるが良い」
苛立つゴスロリ少女を、キルフィンは腰に手を当て、どや顔で見下ろす。
ゴスロリ少女は手にした日傘を一回転させると、それは淡い緑色の光りと共にいつの間にか磯巾着を模したような杖に変わっていた。
「“自由皇女”キルフィン・ゼラ・グラーディア! 今日こそは私が家に送り帰して上げるわ!」
「“星刻の魔女”ヒューメイア・オデッソナー。その通り名に恥じぬ力、わらわに見せてみよ」
何やらおかしなオーラを二人は放ち出した。
周りの建物がその重圧に耐えられないように、妙な軋みを放ちはじめる。
キルフィンはゆっくりと両手の平を合わせた。
その間から目も眩む光が漏れ出す。
両腕を拡げると白銀の槍が現れた。
左右両端に切っ先があり、中央のみに柄がある。
形容するならば、左右両槍のジャベリンに近い。
それを見てヒューメイアはほくそ笑んだ。
「何時までも“神武魔法”対策をしていないと思う?」
「はて? 対策をとられたとして、わらわに何の不都合が有ろうか?」
キルフィンの余裕泰然の姿勢は崩れない。
まるで王者の貫禄だ。
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