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二人が火花を散らしているのを良いことに、俺はその場からゆっくりと後退りした。
目の前で奇想天外な戦いが始まりそうな気配を、ひしひしと感じる。
キルフィンの槍が閃くのと、ヒューメイアの杖が輝くのは同時だった。
よく分からない衝突が閃光を導き出す。
キルフィンとヒューメイアとの中間空間で何かが爆発した。
爆風に煽られて、俺は地面を転がるように吹き飛ばされる。
(しめた)
目が眩むような痛みと落ちた痛みに我慢しながら、俺は直ぐに立ち上がると走り出した。
爆音が背後で聞こえるが、それを無視してがむしゃらに走る。
コンビニバイトばかりで運動していなかったツケが回って来たようで、動悸の激しさに目眩が起きそうだ。
気持ち悪い。
吐きそうになる気分より、逃げたい心理が体を動かす。
背後を振り返ると、特撮のような光景が拡がっていた。
爆弾テロが起こったかのような喧噪の中、立ち上がる黒煙と発光は、あの二人が招いた災厄なのは間違いない。
「ははは。冗談きついぜ」
引き攣った笑い顔に無意識になっていたようだが、この現状では仕方ないだろうと自分に言い聞かせる。
頭のネジが外れた美少女どもは、非常識この上ない存在だったようだ。
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