プロローグは突然に

3/39
前へ
/53ページ
次へ
 そして、美人姉妹に振り回されていたせいで、人に気を使うのにも嫌気がさしていたりする。  とまあ、俺は二面性の強い性格になった訳だが、そんな事もどうでも良い。  とにかく、重要なのは一つ。  金を稼いでいると言う事だ。  養親に世話をかけさせないように、そして、あのふざけた姉妹から離れる為に俺は高校を卒業したら直ぐにでも就職するつもりである。  一人暮らしには金は入り用だ。  今からでもコツコツと金を稼がねばならない。  奨学金で大学に行けと言う意見もあったが、正直、俺は勉強は好きではないのだ。  よってこの寒空の下、コンクリートジャングルを駆け抜けるのである。 「寒いなオイ」  天候に愚痴を言いながら街を進む。  その途中に妙に浮いている人影を見つけた。  金髪の後ろ姿。  長髪をポニーテールにし、服は見慣れない赤い学生服のようだ。  最近ではとんと見ない髪型なので、逆に目立つ。  短いスカートからすらりとした氈鹿のような脚が伸びており、モデルのようなきらびやかな肢体は、見えない顔も容易に想像できる麗しさだ。 (うおー。あんなに目立つ外人珍しいな。女子高生……留学生か?)  顔が見たいな~など、茫洋と考えながら先を進む。  横を通り過ぎるついでに顔を拝もうと決めた。  周りの人間が興味津々に既に見まくっているのだから、俺も許されるだろう。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加