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チラ見した顔は予想を越えていた。
俺のボキャブラリーでは表現しにくい。
眉目秀麗、豪華絢爛。
一見可愛らしいが、碧い猫目のような双眸が美人のオーラも醸し出している。
初々しいなかに色気が見え隠れしているのは、その豊満なボディのせいに違いない。
(うは。流石に外人は早熟だね。グラビアアイドル顔負けだ。世の中、こんな人間が存在するから、恋愛格差社会が生まれんだろうね~)
俺の視線に気づいたのか、金髪美少女と目があう。
一目惚れ。
なんて事がビビッとくるのはドラマぐらいだろう。
それは単純に外見の好みがドストライクだったとしか俺には思えん。
正直、俺はこの手の美人は苦手だ。
何か義姉を彷彿とさせるからである。
美人と言う生き物は、基本、自分が美人だと言うことを熟知しているものだ。
その有用性も。
さっさと先を急ごうと足を速めた時だった。
妙なものを見たのは。
微笑。
と、言うには何か邪悪な雰囲気を醸し出している。
「見つけたぞ魔王転生体! そなたはわらわの下僕と決めた。疾く足元に平伏するがよい!」
そう宣言すると、いきなり金髪美少女は仁王立ちで笑い出した。
美少女の奇行はかなり……思いのほかキモい。
気づかない振りを決め込んで俺は速足に立ち去る。
その首筋を何かが通りすぎた。
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