プロローグは突然に

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「あっ?」 通りすぎた何かは、俺の左前方にあったバス停の時刻表に突き刺さっている。 細い針のような、鋭利な銀の突起が飛び出ていた。 「人の話を聞かんか痴れ者が! わらわが来いと言ったならば、四の五の言わずに這ってでも疾く参上せよ!」 美少女はご立腹なのか、鋭い眼光をこちらに向けた。 視線に射殺されそうで、俺は一歩後ずさる。 周りを見ると危険を察知した小動物のように、通行人達はそそくさと逃げ始めていた。 俺も逃げたい衝動にかられたが、相手は睨みつけながら迫って来る。 まるで熊に狙われた人間の気分だ。 視線を外して逃げ出せば一瞬で襲われるであろう。 俺は視線をそのままに、じりじりと後退した。 「何のご用かな? 俺はあんたと知り合いだった記憶が全くないんだが……」 「今、初めてあったのだ。初対面は当然であろう? それとも何か? そなたは初対面の人間とは話も出来ない、チキン野郎と言うことか?」 何故か含みのある笑い顔で、どんどん近づいて来る。 正直、何やら嫌な予感しかしないのは何故か? まるで人攫いが、子供を誘拐しようとしている時の笑顔に感じる。 まあ、そんなものは実際見たこと無いが、概ね外れてはいないだろう。
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