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「いやぁ。そう言う事じゃないんだ……が……あ?」
俺は向かって来る美少女が、いつの間にか右手にナイフを握っている事に気がついた。
ナイフと言っても妙な形だ。
刃先の部分が穴だらけ……と言うより、妙な形の鍵にも見える。
「うぉ?!」
いきなり突き出された鍵型ナイフを、俺は慌てて後ろに飛びのいて避けた。
我ながらナイス反射神経。
しかし、あまりの事にそのまま不様に後ろに倒れる。
アスファルトに這いつくばる俺を、この女はまるでゴキブリでも見るような視線で覗いて来やがった。
「なっ、何すんだテメェー?! あぶねぇーだろうが! 殺す気か!」
その場で怒鳴り散らす俺を、冷ややかな視線が見下して来る。
「ふん。わらわの言を無視したのだ。刺されるぐらいの覚悟はあったのだろう?」
「そんなもんがあるかボケェぇ?! 何処の世界に女の言う事を聞かなければ刺されるルールがあるってーの! 何時何分いったい誰が作ったてんだ!」
がなる俺を見て、美少女は事もあろうか唾を地面に吐き捨てた。
靡く金髪が、だんだん質の悪い象徴に見えてくる。
「このわらわが……キルフィン・ゼラ・グラーディアが、今、此処で作った。潔く刺されるが良い」
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