プロローグは突然に

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「はぁ? 何この、しょっぱい奴。これがあの“閉鎖魔王フェレスメフィス”の生まれ変わり?」 声が上から降ってきた。 甲高い声は愛くるしいが、上から目線いっぱいの台詞はかなり嫌な予感しかしない。 見上げた先には、黒髪のツインテールの少女がいた。 白いゴシックロリータに身を包み、フリルの付いた日傘を持っている。 人形のように愛くるしい顔だが、目付きが異様に悪いのにギャップを感じた。 「魔力も微量にしか感じない。これじゃサーチのウイッチクラフトにかからない訳ね」 「どなたさまで……」 俺の質問にゴスロリ少女は露骨に苛ついた顔をした。 「はぁ? 何あんた勝手に私に話し掛けてんのよ。その無様な状況で質問しないでくれる?」 目付きの悪い目が更に険しくなる。 何なんだ今日は……厄日かってーの。 何か先ほどのデジャヴュに感じて頭が痛い。 とにかく逃げる。 その一手しか俺には無い。 ゴスロリ少女が罵詈雑言を奏でている間に、俺はじりじりと態勢を整え……。 ダッシュ! 俺は脱兎の如く逃げ出した。 瞬間、足元が吹き飛ぶ。 俺は大きく空中に飛ばされてからアスファルトに落ちた。 激痛に頭が真っ白になる。 肩から落ちた気もするが、こめかみもやたら痛む。 頭から落ちていたら洒落になっていなかっただろう。
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