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「ちょっと勝手に動かないでくれるかしら? まだ、貴方をどうするかは決めあぐねているんだから」
ゴスロリ少女は呆れた表情で俺を見下ろす。
何をやられたかは謎だ。
爆発?
爆弾魔かテロリストか何かか?
疑問が頭を過ぎるが、痛みが思考を妨げる。
「やっぱり魔導工房で調べなきゃダメかしら?」
ぶつぶつ呟きながら少女が近づいて来る。
その足が急に止まった。
その理由は、ゴスロリ少女と俺との間のアスファルトに突き刺さった、でかい針のせいだ。
バス停に突き刺さったものと同じ――十五センチ程度の銀色の針。
よく見ると、本当に巨大な待ち針のように思える。
「人のものに唾を付けるのは止めて貰おうかのう。こやつはわらわの下僕だ。手出し無用」
声は頭上からした。
向かいのビルの上に金髪の少女が仁王立ちしている。
キルフィン・ゼラ・グラーディアと名乗った美少女だ。
ここからだとパンツ丸見えだが、ツッコミを入れたら替わりに針を突っ込まれかねない気がする。
それを見て、ゴスロリ少女は舌打ちした。
女子力低いぞお前らと胸中でツッコミを入れたい。
「また現れたわね“自由皇女キルフィン・ゼラ・グラーディア”! 何処にでもしゃしゃり出るゴキブリのような女」
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