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公爵の息子で伯爵を継いでることは結局言えず仕舞いだったが、いつか言えたらいいと思う。
背中を押してくれたメディシーナには感謝している。が。
「謝るならサルでもできるんだよ! サルの方が高尚だ、反省までするんだから!」
嵐が去るのを待つように身体を小さくしていると、意外な人物が俺を庇った。
「マリアベル殿、こ奴を故郷に送ったのは私だ。身近に領を預かる義父がいるのに、領の内政に思い至らず浅慮だった。どうか許して欲しい」
いつも冷たくされているためか、メディシーナが下げた頭に後光が見える。
「しゃあねぇ。説教の時間も惜しいから、グレイシー嬢に免じてこの程度にしといてやろう」
そう言って、ポケットから手帳を取り出す。
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