プロローグ 亡国の王と新国王

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かつて王だった男は冷たい床を足に感じ、奇異の視線を浴びながら、ただ、項垂れていた。 数日後には処刑台に立つ。 頭には奪われた王冠がわざわざ被せられ、手は背後で鎖に繋がれている。その様は当に罪人。 己の罪は何であったのだろう。 勝者が正義で敗者が悪の世の中。ならば罪は時勢を見誤ったことであろう。 この戦に勝てると思った。 彼の国は乱れ、国力は減じていた。実際、途中までは上手く行っていた。即位したばかりの王を討ち取ったこともある。 しかし旗色が変わり、それでも諦め悪く戦を続けていたら、重税に喘いだ民が立ち上がった。
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