1472人が本棚に入れています
本棚に追加
かつて王だった男は冷たい床を足に感じ、奇異の視線を浴びながら、ただ、項垂れていた。
数日後には処刑台に立つ。
頭には奪われた王冠がわざわざ被せられ、手は背後で鎖に繋がれている。その様は当に罪人。
己の罪は何であったのだろう。
勝者が正義で敗者が悪の世の中。ならば罪は時勢を見誤ったことであろう。
この戦に勝てると思った。
彼の国は乱れ、国力は減じていた。実際、途中までは上手く行っていた。即位したばかりの王を討ち取ったこともある。
しかし旗色が変わり、それでも諦め悪く戦を続けていたら、重税に喘いだ民が立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!