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「まあまあ土方さん、落ち着いてくださいな」
そう、隣から優しげな声が聞こえた。
「山南さん……」
土方は、隣に座る月代の男ーー山南敬助(ヤマナミケイスケ)を見て、一つ溜息を吐き口を閉じた。
「しかし、土方さんの言うことは尤(モット)もですよ、二人とも」
山南の言葉に目の前に座る二人はしゅんと項垂れる。
「庭に置き去りにされている君たち二人付の隊士を見たとき、ゾッとしました」
「……ごめんなさい」
藤堂が頭を下げる。
「隊士たちも実戦をしなければ強くはなれない。邪魔扱いしてはいけません。次は必ず連れて行きなさい。いいですね?」
「「……」」
「……返事は?」
「「……はい」」
「よろしい」
二人の返事を聞き、山南は満足したように頷いた。
「では、これで説教はお開きです。行っていいですよ、二人とも」
山南からそう言われ、藤堂と沖田は土方の室からそろそろと出て行った。
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