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「違うね。」そう言って先輩は立ち止まった。
俺は俯き加減だった顔を上げた。
「サーティー〇ン。」その看板が目に入った。
「私がみたのは明晰夢なんかじゃなくて正夢だったんだよ。」あるいは予知夢か。
そう言ってその女の人は俺に笑いかけて来る。
「アイスでも喰ってこう。」
そして,意気揚々とその店に入って行こうとするのだった。
俺はその後ろ姿を呆然と追い掛ける。
さっきまでの暑さはどこかに行ってしまったようだ。
アイスを食べられそうにない。
多分、俺が奢るんだろうな。
そんな事を考えながら、俺はやはりこの人には適わないと尊敬と畏れの入り混じった感情を抱くのだった。
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