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―天宿り―
昔、昔あるところに一人の若い坊主がおったそうな。
その坊主はなんでも
『天国はどのようなところだろうか』
と、ことあるたびに聞きまわっていたそうな。
そしてある時、一人の旅人にその坊主はいつものように
『天国はどのようなところだろうか』
と聞いたところ、旅人はこう答えたそうな。
『天国とは自らが……
男はそこで目が覚めた。
さっきは夢を見ていたようだ。
足の疲れと少しばかり頭痛がする。
それより、先ほどの夢の旅人の答えが気になる。
私なら天国は~と、考えていると、この宿主が戸を叩いてきた。
そうだ。私は村に立ち寄り宿を借りたのだ。
たしか宿の名前は、
『天宿り』だった。
男はのっそりと立ち上がり宿主に返事をするのだった。
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