手首に手型

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ピンポーン‥ ガチャ‥ 「‥あぁ。こんばんは。」 今度は一回のチャイムで出た彼はさっきのペンキ塗れのシャツじゃなくて黒いTシャツとジーンズを着ていた。 イケメンは何着ても似合うな‥ じゃなくて!!! 「こんばんは!あの!この近くに銭湯ってないですか?ガス開通してもらうの忘れてて‥」 「銭湯?ないんじゃないかな、この辺には。」 「そうですか‥」 最後の望みが断たれました。 「‥その手首‥もしかして俺のせい?」 彼は私の手首をじーっと見つめてそう言った。 「え?あの‥えーと‥はい。」 「だよね。」 「はい‥。」 「すいません。」 「あの‥いえ。」 「入る?」 「え?」 「だからお風呂、うちで入る?」 「‥え!!!!!いや!あの!でも悪いですし!!!てゆうかそれ以前になんか色々とあれだし!!!」 どんなに困っててもさすがに今日会ったばっかの男の人の部屋でお風呂はマズイよね。絶対! 「でも俺のせいだし、それ。遠慮せずに入ってよ。お湯じゃないと落ちないでしょ、そのペンキ。」 そう言って彼は青い手型の上から白いきれいな手で私の手首を掴み、部屋の中に入れた。
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