お隣さんはお隣さん

3/8
前へ
/285ページ
次へ
「じゃあメンバーを紹介するわ。おい、みんなちょっと集まって。」 所長が手を叩くと事務所の所員さんが集まって来た。 「今日からここで働いてもらう高瀬りんさんです。このむさ苦しい男ばっかの事務所に咲く一輪の花だ。お前ら絶対変なことするんじゃねぇぞ。」 へ、変なことって‥ 「はじめまして。高瀬りんです。よろしくお願いします。」 私が挨拶するとみなさんが拍手してくれた。 「あれ?あいつは?また遅刻かよ。全く、アイデアが悪かったら速攻クビにすんのに。」 所長さんが言うにはこの事務所には遅刻魔が一人いるらしい。 バタンッ 事務所のドアが開いて、男の人が入ってきた。 「おはよ。」 「おい。凌!おはよ、じゃねぇ!また遅刻かよ!」 「あーなんか朝からアイデアが降ってきて色々描いてたら遅れた。」 「はぁ。降ってきたんならしゃーないか。その代わりいいアイデアなんだろうな。」 「どーだろ。」 遅刻魔と所長の会話は私の耳にはほとんど入らず、私は遅刻魔の顔をずーっと見つめていた。 「あ、あ、あ、あの?」 混乱した私が声を出すと遅刻魔がこっちを見た。 「ん?あれ?りんちゃん。なんでいんの?」 「あれ?凌と高瀬さん知り合い?」 「あの‥知り合いってゆうか」 「お前、昨日風呂場に服忘れてったぞ」 ‥‥‥しーん 事務所内が早川さんの一言で静まり返った。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5265人が本棚に入れています
本棚に追加