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再び教室へ戻ると、何か言いたげな視線を向けられるものの、話しかけてこない。
俺達が相当怒っていると思っているようで、ルウやモアなんかは涙を溜めている。
(怒ってはいないんだけどな)
昔のように、ただ護りたいって思わなくなっただけ。
一心不乱に護る事だけを考えなくなっただけ。
今の俺にも少しはその気持ちが残ってはいるが、恐怖を感じ、自分の矛盾に呆れている気持ちも混じっている。
一度は護らないと切り捨てた皆の顔を見る。
間違ってないとアスラは言ったけど、やはり俺は間違えたんだと思う。
亡くしていい命なんかない訳で、捨てていい命もない。
“初心に戻る”じゃないけど、やはり何度ぐるぐる考えても“護りたい”って結論になる。
(俺への暴言は聞き流せばいいのか……?)
先程アスラは、自分も同じような態度をとられた事があると言った。
他の皆もそうなんだろうか?
自分が言われた時より悲しいのは、やはり傷ついて欲しくないと願っているからか。
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