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身支度をして学校に行く用意を終えると、目覚まし時計と一緒にテーブルに置いていた携帯電話を手に取る。
着信があったことに気がついたのその時だった。
ディスプレイに表示されていたのは登録されていない番号。
着信があったのは真夜中の三時で、眠っている時はまったく気づかなかった。
その直後に伝言が残されている。
こんな時間に誰だろう。
そんな感想を抱きつつ、日向は制服の上から紺のダッフルコートを羽織ると部屋を出た。
家の鍵をかけて門を抜けると、コートの隙間から入ってくる冷たい風に身震いした。
天気予報では雪が降るらしい。
両手に息を吐きかけ、学校に向かいながらコートのポケットから携帯電話を取り出した。
いったい誰がなんの用事であんな時間にかけてきたのだろうとさっきと同じようなことを頭の隅で考えながら、スーツ姿の男やランドセルを背負った小学生を尻目に住宅街を歩きながら伝言を再生させる。
お決まりのセリフのあとにメッセージが流れはじめた。
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