舞い落ちた雪

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天気予報でいっていた雪が降りはじめたのは午後になってからだった。 用事があるといって怜二は先に帰ってしまったので、これから一人で帰るところだった。 コートの襟元をたぐり合わせながら空を見上げる。 夜までに積もりそうなくらいの雪が降っており、既に地面はうっすらと白に染まっている。 傘を持ってくればよかったかなと日向は小さく吐息した。 仕方なくそのまま歩き出しながら、今晩の夕食はなににしようかと考える。 引き取ってくれたのはいいが、新しい両親はすぐに仕事で海外へ行ってしまい、ロクに会話もしないままに日向は一人暮らしをしている。 生活費は毎月しっかり振り込まれているし、なにかあれば電話(ものすごく気まずいが)でこと足りるので生活には困っていないが、そんな生活をする両親がどうして自分を引き取ったのか日向にはちょっとした疑問だった。 聞けば、怜二を引き取った家の夫婦も揃って単身赴任で帰ってこないというし、楓や他の二人の兄弟たちも同じような生活をしているらしい。 そのため、週に何度かは誰かの家に集まって一緒に食事をすることがある。 奇妙な関係だ。身寄りのない子どもを引き取るには滅多に家にいないことが条件なのだろうか。 学校からの坂道を下り、そういえば冷蔵庫の中身が寂しかったことを思い出した。 帰りにスーパーに寄ろうかと考えたが、それよりも一度傘を取りに戻ることにして日向は肩に積もった雪を払い落とすと心持ち家路を急いだ。 雪の勢いは少しずつ強くなっていき、ようやく自宅が見える頃になるとコートはすっかりびしょ濡れになっていた。 こんな日はこたつに入ってゆっくりしているのに限るわけだが、そうものんびりできないのが一人暮らしの苦しいところでもある。 さっさと買い出しに行って、それから温かい風呂にでも入ることに決めながら家の門を開く。 玄関の前には扉に背を預けて座り込んでいる一人の少女がいた。
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