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カキン
何かの音がする
きっと自分が斬られた音だろうと雪は思った
しかし、いくら待っても恐れている痛みは襲ってこない
酷く傷つけられて、痛覚までもが麻痺しているのだろうか
しかし、忘れられないあの血の臭いがしないのはおかしい
雪は恐る恐る目を開く
ぼやけるようにしてみた目の前には雪を守るようにして背中があった
『土方さん。少しは頭を冷やした方がいいですよ』
声をきき雪はうっすらと開いていた目を見開く
目の前には刀を抜いて鬼の剣を受け止める青年がいた
後ろに立っているため顔は伺えないが、お菓子を取り上げたときとは余りにも雰囲気が変わっていた
あの時のカキンと響く音は青年が抜いた刀と重なりでたものだったのだ
雪は助けられたのだと理解するも、信じられない自分がいた
『総司…』
土方がなぜ沖田がかばうのか困惑していると沖田は静かに口を開く
『自分の感情に任せてわっぱを斬って、その後どうするつもりです?近藤さんに怒られるのは土方さんですよ。』
『俺は下らねぇ感情なんかに流されちゃいねぇ!そいつは危険だ。間者かもしれねぇ。それに』
『それを決めるのはまだ早いでしょう。
土方の言い分を遮った沖田の言い分は最もで、筋がとおっていた
沖田の言葉に土方は何もいいかえせず、ただ睨む事しかできない
しかし、口は災いの元
言い過ぎは厳禁である
それに自分が殴られたからって怒るのはバカがする事ですよ☆土方さんのバーカあぁ』
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