壱 プロローグ

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ドアの向こう側、 先ほど母とみた光景の場所に 足を踏み入れる、 踏み入れてしまった 光が照らす場所は善とは限らない 真っ先に奴隷達が目にはいった 上からみるのとまた違う、 近くでみる本物の奴隷達の目をみた まるで死んでいるように 不気味だった 雪は思わず息を飲んだ 何をされればこんな目ができるのだろうか 雪には分からなかった そして ついに 黒い服の覆面姿の人間が雪に近づいていく 雪が気付いた時にはもう遅かった ドスツ 鈍い音が響くと同時に雪の意識は闇に堕ちていく 『っ………。』 意識が薄れていくなか、 雪は男に抱えられると何処かへつれていかれる この時、 最後にみたのは、 窓の向こうで 私をみて泣き叫ぶ母と、 「袴しかねぇのか。」と 呟く黒い男の横顔だった――――――――
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