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ドアの向こう側、
先ほど母とみた光景の場所に
足を踏み入れる、
踏み入れてしまった
光が照らす場所は善とは限らない
真っ先に奴隷達が目にはいった
上からみるのとまた違う、
近くでみる本物の奴隷達の目をみた
まるで死んでいるように
不気味だった
雪は思わず息を飲んだ
何をされればこんな目ができるのだろうか
雪には分からなかった
そして
ついに
黒い服の覆面姿の人間が雪に近づいていく
雪が気付いた時にはもう遅かった
ドスツ
鈍い音が響くと同時に雪の意識は闇に堕ちていく
『っ………。』
意識が薄れていくなか、
雪は男に抱えられると何処かへつれていかれる
この時、
最後にみたのは、
窓の向こうで
私をみて泣き叫ぶ母と、
「袴しかねぇのか。」と
呟く黒い男の横顔だった――――――――
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