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十一時を少し過ぎたころ、私達は海月と真那とで学生会館と名づけられた建物に向かった。
小さな家としか言いようがない、セントラルにある学生会室は結界の中にはない。
かろうじて、人間も入れる範囲内だ。
正確には、空間座標を思い切りねじまげて、神獣に関る施設は全て、同じ場所にありながらある手順を踏むことでしか入ることができないようになっている。
そのあたりの詳しい説明は朔耶がわかっているのだが、戦闘に関する真術以外ほとんど望まなかった私にしてみればなぞ以外の何物でもない。
「すまない」
私は扉をあけるともうすでに白銀の面々がそろっている。
会議室と名づけられた部屋には円卓がひとつと人数分のいすが設けられており、机にはまとめられた紙の束が置かれていた。
私はいつもどおり、椎葉綾切の横に座った。
海月たちは心の横、丁度私の反対側に座っている。
空席は4つ。座るものは今いない。一つは鵜野原たちのものだ。
「さて、と。皆さん全員そろいましたね。はじめますか」
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