901人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、あと白銀に少し変動があったから言っておきますね。卜部さんの後任に……ほら、立った立った」
「ああ、はい」
海月は朔耶の声に席を立つ。
「蒼竜、久我原海月。今年高等部に入りました。《運命人》は……」
「鈴宮真那。海月とは同い年です」
簡潔に述べた海月と後から立ち上がった真那の二人は軽く頭をたれると、すぐに席に着いた。
「現在は鵜野原さんの碧竜の席、そして先日辞任した雷竜の席が空いています。
後任ですがただいま検討中です。久我原、ちなみに名前は全員分かりますか?」
「俺はわかるけど……」
海月は、真那を一瞥して、
「こいつが分からない」
と、半ばあきれたように答えた(単に真那の記憶力に大幅な問題があるだけである。六年前の知り合いなど覚えているはずがない)。
「まあ、いいでしょう」
朔耶はいつもどおり、やさしく微笑んだ。
「私は紫竜の席についている弓槻朔耶。
表では学園長の秘書です。私の《運命人》は、もう知ってますね」
朔耶はさらに極上の笑みを浮かべて微笑んだ。
そして、彼の横にいる肩口でばっさりと髪を切った春姫を促す。
「水無瀬春姫。知っていると思うけど、貴方たちの担任よ。よろしく」
微笑んだ春姫の髪が揺れた。
朔耶はちらりと、私の横の綾切を見る。無表情だけれど、面倒くさそうな雰囲気で綾切が口を開いた。
「紅竜・椎葉綾切。高等部学生会長。《運命人》は椎羽雅切」
焼き尽くしたような灰の髪と紅の瞳が海月をにらむように見据える。
同じ顔に同じ髪や瞳をした雅切も同じように彼を見つめて彼と同時に席に座った。。
最初のコメントを投稿しよう!