1.5)4月24日 心が揺さぶられて仕方がないんだ

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「馬鹿っ!!」  その声と同時だった。  彼女は窓の桟をけって窓から飛び降りる。  私は目一杯手を伸ばして――彼女を抱きとめた。  衝撃で後に倒れてしたたかレンガの地面に頭を打て顔をしかめた。 「お前……その無鉄砲なところ直さねぇと死ぬぞ……」 「アナタが話を聞いてくれたら私だって飛び降りたりしなかったわ!」 「しるかっ!」  私はそっと彼女を自分の上から下ろして、立ち上がった。  彼女が軽かったおかげでとりあえず腰と頭は痛むが無事だ。 「お願い、諒。話を聞いて」 「いやだ。オレは忙しい」 「どうして私を避けるの!?」 「お前こそ、なぜオレを気にかける」 「それは……」  逡巡した心を私はにらみすえた。 「オレはお前のお守りをするためにここにいるんじゃない。秩序を守るために居るんだ」  踵を返してさっさと歩き始める私に心は何も言えない様子で―― ――振り返る間際に見た泣き出しそうな顔が眼に焼きついた。  必死で走って、彼女から見えなくなるくらいまで走って、私は人のいない建物と建物の間に体を滑り込ませた。  上がった息を整えるように何度か呼吸して――その場にしゃがみこんだ。自分の肩を抱いて、小さくなっていた。  私達は一緒に居るべきではない。  わかっている。  十分すぎるくらいわかってる。  長の命令でお前を守らなければいけない。    でも――でも、やはり、私と心は一緒に居るべきではない。  心が揺さぶられて仕方がないんだ――……。
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