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俺は一度彼らに手を挙げると、教室からでようとした。すると、ふと眼にはいった黒板の紙。
あーそういえばホームルームのときいってたかも……数日前に行われた実力テストの結果だった。
さぼろうとしたら春姫に拳骨喰らった挙句に説教を喰らって教室に引きずり込まれたのを思い出してげんなりした。
机の間を縫って、その結果に目を通す。
「あ」
俺自身の名前はすぐに見つかった。でもそれ以上にその隣の名に目がいった。
1位 古雅 諒
2位 久我原 海月
あいつ……相変わらずだな。
俺は溜息が長く漏れるのを感じた。
「ほんとすげーよ……お前」
何故か泣きそうな気持ちになりながら俺は微笑んだ。
その背中合わせの感情が胸にちりちりと痛かった。
諒は一体いつ気を抜けるのだろうか。
諒はいつになったら何も背負わず生きていけるのだろうか。
小さいときからあいつはいろいろなものを背負って、いつも重たい足を引き摺りながら――
――……一歩、また一歩、一歩と歩いているような感じだった。
あいつにそれが幸せだというなら俺には何も言う権利は無い。
でも、再会したときのあの眼は忘れない。
諦めきったようなそんな――
「海月?」
がらっと、すぐ近くの扉が開いた。
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