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さすがに人どおりの多いところで自転車に乗る気にはなれず自転車を引きながら歩いて寮に戻る道に着いた。
ゆっくりと歩きながら、やっとなれてきた人込み。
ここに来てまだ短いけれど、人はこんなにも多かったことをここに来て初めて知った。
この中にはもちろん竜族のものもいるでもそれでも人間の数はおおい。
学生の三分の二は人間だし、従業員も同じくらいの割合で人間だ。
戦うために俺はここに来た。
守るためにここに来た。
その邪魔になるなら真那とはいえ俺は切り捨てるかもしれない。
上が言う前に俺自身が彼女を切り捨てる可能性は否定できない。優先順位はいま人間を守ることだ。
離れたくは無い。
離れればどんな痛みがあるか。
あいつとはなれたときがそうだったじゃないか……
大事な奴と離れるのは痛いのだ。
俺は奥歯をかみ締めて、無意識のうちに歩みを止めていた。
「ちっ」
舌打を打って再び歩み始めようと思ったそのときだった。
ふっと視界の隅に銀の光を見た。
建物と建物の間にうずくまっている人影。膝を抱えてこれ異常ないほどに小さくなって丸まっている。
そこにいたのは――
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