0)20x6.5.30 世界は結局人の周りにしか存在し得ないんだ

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 俺は地面をけった。  はねる泥が、宙に舞う。  木々の間の闇に溶け込むモノに向かって俺は拳を突き出した。  鮮血。  もぎ取った首が地面でごろんごろんと転がって、生暖かい血が俺の顔に吹きかかる。  しかし、風が吹くと瞬く間に消えていく。  確認はしなかったけれど、もぎ取った首も闇に溶け込んで消えた。その気配だけが肌に感じられる。  俺は勢いを殺すことなく中空で反転。手に握られた鎖を手の内の力を緩めて放った。  吸い込まれていくように鎖がモノの体に突き刺さった。  その手ごたえを視覚的に感じると、吸い寄せられていた鎖をつかんで俺は地面を蹴った。
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