0)20x6.5.30 世界は結局人の周りにしか存在し得ないんだ

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「ちっ」  地面を転がって受身を取るとそこに拳が繰り出された。  岩を体に貼り付けたようなそんな化け物だった。  暗くて体の色とかはよくわからない。けれど、赤い目が背にした夜空の黒の中でひどく浮いて見えた。  俺は跳ね上がるようにして、体を起こして鎖を放った。木に巻きついた鎖をひきつけて、俺は拳の雨から逃げ出す。 「うぜぇ……な」  苦々しく呟くと顎に流れた汗を手の甲でぬぐう。 「海月? 私もそろそろ出張りましょうか?」
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