0)20x6.5.30 世界は結局人の周りにしか存在し得ないんだ

11/41
前へ
/1398ページ
次へ
 唐突にかけられた声に反射的に振り向きかけたが、行動より先に苦笑がもれた。 「冗談」  そっと俺は耳にぶら下がったリング状のピアスに触れた。 「なさけねぇとこなんてみせれねぇだろ」  自然と笑みがこぼれた。  背後に現れたその気配にどこか忌まわしげに呟くと「ごもっとも」と、笑い声にまじってその言葉が耳に届く。  傷口を爪で撫でる様な後味の悪い感覚を覚えさせた。
/1398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

901人が本棚に入れています
本棚に追加