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俺は暗く落ちていく思考を無理やり振り払うように自転車のペダルを踏み込んだ。
自転車が頂点に達するとその勢いは殺されるどころかぐわりと加速して下へ落ちていく。
心地よさと紙一重のスリルが体の中から一瞬だけその思考を振り払いだした。
伸び気味の前髪が風に煽られて視界をさらに明るくさせた。
丁度、木々の葉が薄くなっていて、そこから光が注いでくるのに、俺は視線を上げた。
田舎な所為か都会と違って(そもそも都会にはあまりいったことがないけれど)空の色が濃くて邪魔する光もない。
だから、月も星もとても綺麗だ。
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