黄昏を歌う

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 人間だけを食らう化け物が地上を闊歩し始めたのです。  神様は獣たちに言いました。  あの化け物は私……時の管理者である神さまを束ねる主が送ったもの。  人間はいずれこの世界に災いをもたらすと、主が判断したのでしょうと神様は言いました。  自ら手を出すことのできない神様は獣たちに言いました。  人間をすくってほしいと。  獣たちはもちろん拒みませんでした。  獣は神様がどれだけ、世界を愛し、生き物を愛し、人間を愛し――――万物を愛していることを知っていたから。  獣たちは言いました。  では、私たちに人間の体を与えてください、と。  神様は快く、その願いを受け入れました。  けれど、獣の力は強く、人間の体では到底耐えられませんでした。
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