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今、俺が向かっているのは中央区画にある北の塔――通称。
ただ、目覚めるかもわからない眠りに浸るものだけが束の間となることを祈りつつ安らぎを許されてここにいる。
安らぎになるか否かその者にしかわからない。
少なくとも、アイツには安らぎとなってくれるとは思う。俺の願望かもしれないけれど。
俺は北の塔の鉄扉を空けると、柱のない螺旋階段を下へ下へと下っていった。
北の塔は静かなにもかかわらずどこか息づいているような塔だった。
この塔は《禍》に眠る者たちを食わせないための防壁だ。
俺は思わず歯噛みした。
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