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これは疲れからくる眠りではないとわかっている。
眠ったら、俺もいつ眼を覚ますかわからない。
一年前のあの事件。
俺もそれからいつ覚めるかわからない、ほとんど死といってもいいほどの眠りに入ったのだ。
神様が眠るのと同じように俺達も眠った。
死に掛けた魂を修復するために。
ただ、俺は運良く半年で目を覚ますことができただけだ。
けれど、俺の魂はまだ、眠りを欲しているのだ。
時々、それもかなり唐突に眼がかすんで眼を閉じたが最後、眠りに落ちていく。
眠ってはいけない。
眼を閉じてはいけない。
そう言い聞かせても、それは逃れることのできない――たとえるなら、底なしの沼に唐突に横たえられてそのままじわりじわりと体が沈んでいく、そんな感じ。
……体が重くなっていく、そう。それ。今がそれだ。
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