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「ふっざけんなよ……!」
私――こと古雅 諒(コガ マコト)は今何故か追われている。
相手の考えていることはわかるのだが、潔白もはなはだしい。
四月五日、昨日と今日、夜の見回りに出ていたら死体に遭遇した。
しかも今日に限っては二件目。
ただ、それだけなのに――
いや、ただそれだけといってもそう見えなければ相手が私を犯人と間違えてもしかないけど。
私が気になっていたのは体から分離された胴体に烙印が刻まれているか否か、その一点だけだ。
一応携帯で写真を残しておいた。
ここ数日の連続殺人では体に烙印が刻まれ、体をばらばらにされる死体が発見されることが続いていた。
けれど、まさか、間違えて襲われるなんて思っても見なかった。
殺気を感じたと思ったらそこに幾本もの鎖が叩き込まれた。私は反射的によけたけれど、余裕なんてもの、すぐにかき消された。
本気でよけなければ、少なくとも怪我だけじゃ済まされない可能性があった。
制止の声を出す余裕さえない。
誰だ? 少なくとも人間ではない。
けれど、私にここまで追いついてくるやつなんかも知らない。
それこそ今追っかけてきているやつこそ犯人じゃないだろうか?
今日で五人目の犠牲者。 1組目は鵜野原ペア。
白銀(はくぎん)――竜族の中でも族長の次の位のうちの一組である。
そして、今日。
3人目と4人目はその下の銀の男女だったが腕が立つといわれていた一組だ。
さらに今―――
白銀の卜部が殺されていた。
少なからず、白銀が狙われているのは明白で可能性の段ではあるがこの状況を打破する必要はある。
もしかしたら犯人かもしれないのなら、ここで確保しておきたい。
違ったとしても説教の一つは許されると思う。
あんまりやりたくはなかったけれど――致し方ないのかもしれない。
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