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真宮学園は幼等部、初等部、中等部、高等部、大学、大学院、そしてそれに付随する研究機関、寮などがある。
総生徒数は一万を軽く超える。
近代的な校舎に、各部署に設置された施設は最新のものをそろえている。
『中等部、高等部では寮生活をすることで集団行動や協調性を学び、社会で活躍するエリートを育成する――』
一番初めのページの隅には学園長もとい、長の生真面目な表情の写真があり、背景に学園の航空写真がでかでかとあった。
ざっと、昨日の話を聞いた限り、この学園はかなり大きい。
そして、何よりこの学園の真術体系にもなかなか感心せざるを得なかった。
俺はさらにページを捲る。
大雑把に書かれたパンフレットの地図がそこにある。
中央の《夢宿りの樹》。
そして、それを守る《玉響の泉》。
そこを中央(セントラル)とし、それらを中心に円を描くように学園の壁は建てられている。
さらに丁度東西南北にひとつずつモノレールの駅をかねた時計台がある。
それら四つを結んで正方形を作るように水路とモノレールが平行して作られており、正方形の一辺の中点にまた、駅をかねた時計台が各辺に一つずつある。
すべてを線でつなぐと、真術陣の完成である。
中央に根源となる真力の源泉――つまり泉がある。
そして、世界を保つ四元素――地水火風を司どる時計台。
さらに、もう四つの時計台は秩序を保つための四元素――光闇時天をつかさどる。
円の中に正方形さらにその中にもう一つの円。
世界に模される円は四元素により支えられ、その世界を支えるように秩序を生む四元素が支えるように円を描く。
これは一番バランスが取れた真術式だ。
真術は神との契約だ。
真術式を物理的にあらわすことをしなければ、真術は使えない。
真術式を表すことが神との契約だ。
表現方法は人によってさまざま。
俺にいたっては真力が高すぎて、制御がうまくいかなかったため、体に見えないインクで刺青を施してある。
俺は真力をためた指先でそれをなぞることで真術をあらわすことができる。
つまり、この学園は学園自体が真術式の中にあり、やはり、要塞となんら変わらないのである。
俺は地図の描かれたパンフレットのページを強く握り締めた。
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