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ぐしゃりと鈍い音が俺の耳に届く。
俺はその音で正気に戻ると、パンフレットをそっと広げて、しわを伸ばす。
体裁は学園。
それは、俺達の存在は人間に擬態させなければいけないからなのだ。
神から作られた俺達は人間と違う生き物でやはり、獣であることには変わりはないのである。
それは、何にも変えがたいもので、変えることのできない事実なのである。
俺達は人間を守る存在であって綺麗な存在じゃない。
そもそもが、神様を管理する奴らに抵抗している、反逆者も同然なのだ。
罪人として俺達は戦っているのだ。
古の契約は俺達を縛ることしか知らないのである。
何度考えたかわからない。
自分達は正義の味方、ヒーローではない。
罪人だ。
それはもう変えられない事実。
忘れてしまいかけることがしばしばあるけれど、それでも忘れてはいけない。
「海月――」
ベッドに座ったまま、ほとんど意識がトリップしていた俺はその声で一気に現実へと引き戻された。
無遠慮なノックの音がさらに意識を覚醒させる。
「お、おう」
パンフレットを適当に鞄に押し込み、自室を出た。
扉のところに諒が憮然として立っていて、もう、制服に着替えていた。
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