始まり

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「遅くなりました!」 ぜぇぜぇと息を切らしながら声を張り上げたその人に 「遅い」 とおじいさんが冷たく言う。 大人達は戸惑ったように目を合わせている。 私もその人を見ていた。 男はぐるりと辺りを見て、私と目が合うと、ずんずんと歩いて来た。 そして私の前にしゃがむ。 「だぁれ?」 怯えながらそう聞くと、その人は私の顔をじっと見てから 「俺は茜のヒーローだ」 笑ったその人は私の手を握った。
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