1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね、でもそんなに重い病気じゃないんだ。本当にすぐ治っちゃうの」
「肺炎だって、どうしてすぐに話してくれなかったの?」
悲痛にそう言う彼女の肩に、そうっと手をかける。やめて、と髪を振る彼女を抱きしめた。涙がセーターを、少し濡らしてすぐに冷たくなる。ひっく、ひっくと泣きじゃくる度に、上がるとがった片手。
「本当にごめんね、だって心配させたくなかったから。君は細かいことでとてもうるさいんだもん」
「うるさいって何よ…」
ぐずっ、と胸元で鼻をすする彼女は文句を言いながらも、そろそろと腕をわたしの背中に回して小さく裾をつかむ。思わず頬がゆるむと同時に、この恋人と離れなければならない淋しさを強く感じた。
「それにほら、一応…恋人なんだから当然、でしょ」
「あは、そうだったね……大丈夫、蔦の葉は落ちないよ」
最初のコメントを投稿しよう!