1.苺ミルク

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と言われた時。 お父さんとお母さんが、あたしの病室で鉢合わせして、できもしない演技を始めた時。 何十回やっても終わらない検査に、期待なんかさらさらしていない医者の薄っぺらい笑い……。 けれど、それらはあくまで突発的なものであって、実際死ぬことは無い。……無かった。 たかがあたし1人死んだところで、世の中は何の打撃も受けずに回っていく。 それでも、両親はその輪の中での一瞬でも、あたしの自ら選んだ死を嘆くだろう。 それは、ひどく面倒臭い。 「あなたがいなかったら、今度こそぺしゃんこだったかもしれないもの。あたしが死んだら、両親は嘆くわ」 あいつが、こっちを向いたのが分かった。 「もしかして……それが嫌だったとか言う?」 「言わない。ただ、面倒臭いでしょ。辛かっただろうとか訳知り顔で言われるのも、病気のせいで心を閉ざしていてとか、勝手に決め付けられるのも。だから、それなら無難に死んだ方がマシって、いつも最後にたどり着くの」 本当は、死ぬなら誰もいない場所で、1人で死にたい。 涙なんて、全部嘘っぱち。 わざわざ笑った写真でかでかと飾られて、あの子は良い子だったなんて、言われたくない。 死んでまでそんな言葉に付き合わされるかと思うと、吐き気がする。 あたしを可哀想って言った奴、全員死ねないようになればいい。
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