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誰かが呼ぶ声が微かに聞こえる。何故か遠ざかる意識の中、その声だけが鮮明に聞こえた。
遥か彼方に何故だかは未だ知らない理由で、誰かは未だ知らない人が待っている。
その人は泣いていた。まるで、大切な何かをなくしたように。
もしかするとその人は今まで現実だと思っていたものが夢で、夢だと思っていた、とても薄っぺらいものが現実だったのかもしれない。
それでも玲はそこへ向かわなければならない。どうしてかは玲にも分からない。もしかすると冬だけが知っているのかもしれないが。でも、
―もう、何も知りたくない…。―
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