0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
初夏の風がまだ真新しい制服に吹き抜ける。
彼はいつも通り学校へ続く通学路を歩いていた。
控えめな茶色い髪に、シルバーのピアス、まだ幼さの残るその整った顔。
今年、高校1年生になったばかりの木ノ瀬 陽汰(きのせ ひなた)は、イヤホンを耳に音楽を聞きながら携帯をいじっていた。
カツンッ――。
足先で何かを蹴った感覚に陽汰はふと足元に目をやった。
そこには、まだ真新しい黒い携帯電話が落ちていた。
陽汰はそれを拾うと、なんの躊躇いもなく携帯電話を開いた。
持ち主を確かめるために。
だが、予想に反して目に飛び込んできた文字に陽汰は首を傾げる。
『A.D.G.Hゲーム』
真っ黒な画面に、白い文字でたったそれだけが映し出されていた。
陽汰はその携帯電話を閉じると、制服のポケットに閉まいまた歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!