1章

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初夏の風がまだ真新しい制服に吹き抜ける。 彼はいつも通り学校へ続く通学路を歩いていた。 控えめな茶色い髪に、シルバーのピアス、まだ幼さの残るその整った顔。 今年、高校1年生になったばかりの木ノ瀬 陽汰(きのせ ひなた)は、イヤホンを耳に音楽を聞きながら携帯をいじっていた。 カツンッ――。 足先で何かを蹴った感覚に陽汰はふと足元に目をやった。 そこには、まだ真新しい黒い携帯電話が落ちていた。 陽汰はそれを拾うと、なんの躊躇いもなく携帯電話を開いた。 持ち主を確かめるために。 だが、予想に反して目に飛び込んできた文字に陽汰は首を傾げる。 『A.D.G.Hゲーム』 真っ黒な画面に、白い文字でたったそれだけが映し出されていた。 陽汰はその携帯電話を閉じると、制服のポケットに閉まいまた歩き始めた。
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