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「ハァッ、ハァッハァッ……………」
夜、桜庭は一人暗い路地裏をただひたすら逃げるように走っていた。
走り疲れた桜庭は立ち止まり額に浮かべた汗を服の袖で拭き取り、来た道を振り返った。
誰もいない。
「フフフ、逃げても無駄よ」
突如、女性の声がしてコンクリートの地面の影がまるで熔けたかのように盛り上がり、その中から女性が出てきた。
姿は人、だが明らかに違う所があった。それは翼だ。2枚の翼は彼女の背中から生えていて、この路地裏の幅をゆうに超えて、桜庭の視界のほとんどを埋めつくしていた。
「あなたは見てはいけない物を見て、知ってはいけない事を知ってしまった。だから、ここで始末させてもらうわ!!」
彼女はその言葉を最後に桜庭を殺しにかかった。
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