ろく

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六歳だったきずな君も十一歳になっていた。 「じゃーん!!ろくっ!!見て見て、六年生だぞ!!」 パリッとした新しい名札を見せびらかして笑うきずな君に小さく「にゃあ」と答える。 うん。 そうね。あれからもう随分経つのね。 あの揚げパンの日から。 私も年を取るわけだわ。塀に登るのも最近キツくなってきたし。毛並みもパサついてきちゃって、全く、いやね。 それでもきずな君は私の頭と背中と頬と顎を撫でて、にっこり笑う。 いつの間にか大人みたいな顔になっちゃって。私の名前も読めなかった子供だったのに。 私は気恥ずかしくなってプイと目を反らす。 今日はパンがもらえない日だったけど、きずな君とゆっくりできたから、こんな日も悪くないわね。うん。
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