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「ろく~!!」
名前を間違われたまま数ヶ月がたってしまった。
もうこれはこれでいいかな、って諦めてしまったわ。
《ろく》は名前じゃなくて、なんて言うのかな……、きずな君と私だけの秘密の合言葉っていうか……、うぅん!!なんか恥ずかしいからこの話はここまで。
きずな君は、給食でパンが出た日は必ず私の分を残してきてくれた。
だから私は礼儀に乗っ取って、きちんとご馳走になることにしていた。
そりゃあパンが貰えるのも少し嬉しいってのもあるけど、きずな君があの笑顔で駆け寄って来てくれるのが、……実は嬉しい。内緒だけどね。
本当は私は食べ物につられるような安い女じゃないのよ。パンを食べた日の夕食の時間にはおばあちゃんにも「最近みるくは食欲がないのかい?」って心配されちゃってるし。
本当はパン食べない方がいいんだけど、食べないときずな君泣いちゃいそうだし、笑ってるきずな君が見たいし、あれ?なんかいやだな、私こんなに言い訳なんかして。これじゃあ私が恋する乙女みたいじゃない?
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