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しばらくの沈黙のあと、お婆さんはゆっくり口を開いた。
「…………風邪ひいたら、もっと此処に居れるじゃろ?」
そんなことで、あんな無茶したの……?
「何考えてんのよ! ここは体を治すとこよ。
あっちのスタッフだって、どんな想いでお婆ちゃんを待ってるか、分かってんの?」
正直、70才越えた人生の先輩に対する、25才の小娘の台詞じゃないわね。
でも、そんな失礼な物言いを続けるあたしを、お婆ちゃんは優しく見つめ、布団の中から手を出してあたしの膝の上に置く。
「……あんただよ。わたしが此処に居たいのは、あんたがいるからさ」
一瞬、目が点になる。
カッコいい男の子に言われたら顔が赤くなるところかもしれないけど、何で武田のお婆ちゃん……?
でも、お婆ちゃんはあたしをバカにしてるわけでも、冗談でもないみたい。
あたしが言葉をなくしてる間に、お婆ちゃんは話し続けてた。
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