1人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは立ち上がり、ポットに手をかけながら呟く。
「嫌だって言っても、行ってあげるわよ」
「ありがとうよ。
でも、隠しきれてないんじゃないのかい。その涙」
まったく、寝起きだっていうのによく見えてる婆様だこと。
このあたしが本心を隠せないなんてね。
「さあ、もう少し休んで。早く治して新天地行かなくちゃ。
……ありがとう、セッちゃん」
「いいね、それ……」
これまでで一番の笑みを見せて、お婆ちゃんはゆっくり目を閉じる。
お婆ちゃんが眠りにつくまで、あたしはずっと手を握ってた。
最初のコメントを投稿しよう!