長篠友美

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あたしは立ち上がり、ポットに手をかけながら呟く。 「嫌だって言っても、行ってあげるわよ」 「ありがとうよ。  でも、隠しきれてないんじゃないのかい。その涙」 まったく、寝起きだっていうのによく見えてる婆様だこと。 このあたしが本心を隠せないなんてね。 「さあ、もう少し休んで。早く治して新天地行かなくちゃ。  ……ありがとう、セッちゃん」 「いいね、それ……」 これまでで一番の笑みを見せて、お婆ちゃんはゆっくり目を閉じる。 お婆ちゃんが眠りにつくまで、あたしはずっと手を握ってた。
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