長篠友美

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その後、お婆ちゃんの体調はどんどん良くなっていった。 延期になってた退院の日取りも決まった。 2月14日……。 なんでバレンタイン? とは思ったけど、今のあたしにはどっちでも同じ。 あたしは婦長さんと院長に頭を下げまくって連休をもらった。 さらに調理室の責任者のおばさんに頼みたおして、利用許可をもらった。 ……こんなに必死に人に頭を下げたりしたのは、たぶん初めてね。 っていうか、自分のことだけじゃこんな必死になることはないわ。 でも、それが今は心地いいの。 そして、あたしは準備を開始した。 お婆ちゃんの退院祝いと入所祝いを兼ねて、手料理をご馳走するのが、あたしの計画。 最初は簡単な会食みたいになればなあ、と思ってのよね。 それがいつの間にか、ちょっとしたパーティーみたくなってた。 「病院内で、適当な料理出させるわけにはいかないね」 そう言って調理室のおばさんが、協力と監督をかってでてくれたのを始め、そんな暇なんてあるはずもない同僚たちも、いつしか、一緒に計画立案に参加してた。 そうこうするうち、あっという間に2月13日。 休みをもらったあたしが買い出し要員なのは当たり前だけど、予定外に量が多すぎるのよね。 大きなスーパーの袋を3つ抱えてたから、あたしは突然飛び出してきた人を避けることができなかった。
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