1人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、お婆ちゃんの体調はどんどん良くなっていった。
延期になってた退院の日取りも決まった。
2月14日……。
なんでバレンタイン? とは思ったけど、今のあたしにはどっちでも同じ。
あたしは婦長さんと院長に頭を下げまくって連休をもらった。
さらに調理室の責任者のおばさんに頼みたおして、利用許可をもらった。
……こんなに必死に人に頭を下げたりしたのは、たぶん初めてね。
っていうか、自分のことだけじゃこんな必死になることはないわ。
でも、それが今は心地いいの。
そして、あたしは準備を開始した。
お婆ちゃんの退院祝いと入所祝いを兼ねて、手料理をご馳走するのが、あたしの計画。
最初は簡単な会食みたいになればなあ、と思ってのよね。
それがいつの間にか、ちょっとしたパーティーみたくなってた。
「病院内で、適当な料理出させるわけにはいかないね」
そう言って調理室のおばさんが、協力と監督をかってでてくれたのを始め、そんな暇なんてあるはずもない同僚たちも、いつしか、一緒に計画立案に参加してた。
そうこうするうち、あっという間に2月13日。
休みをもらったあたしが買い出し要員なのは当たり前だけど、予定外に量が多すぎるのよね。
大きなスーパーの袋を3つ抱えてたから、あたしは突然飛び出してきた人を避けることができなかった。
最初のコメントを投稿しよう!