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そんな清々しい気持ちで迎えたお婆ちゃんの新たな旅立ちの日。
もちろん風は冷たかったけど、嬉しくなるくらいの晴天だった。
顔ひとつ出す様子もないお婆ちゃんの息子の代わりに、あたしがお婆ちゃんの退院と入所の手伝いをした。
……いいえ、違うわね。
代わりなんかじゃないわ。
お婆ちゃんがそう望んでくれて、あたしもしたくてやったことだもの。
周りの景色がめちゃくちゃ綺麗なとこに、その施設はあった。
スタッフさんも皆、心からの笑顔で働いてたし、所長さんもすごい優しそうな人だった。
お婆ちゃんもそこが気に入ったみたいだし、あたしも安心できた。
「よろしく、お願いします」
そう言って頭を下げるあたしに所長さんは優しく微笑んで言ってくれた。
「ええ、お任せください。ここは第二の人生を楽しむところですからね。
それにしても、素敵なお孫さんで羨ましいですね」
その後半の言葉に、お婆ちゃんとあたしは顔を見合せ、同時に口を開いてた。
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