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とはいっても、寂しいのはあたしも同じ。
器量だってけして悪くないし、人当たりもいい。
グループの中では、リーダーになれるタイプじゃないけど、潤滑油タイプだと、何かの雑誌の立ち位置診断に出てたわね。
自分で言うのも何だけど、モテる側の人間だと思ってきた。
でも、違う。
友達はたくさんいるけど、親友と呼べる相手はいない。
これまで心を許して付き合った彼氏なんていなかったし、今は恋人自体いない。
理由は何となくわかってるの。
それはあたしの心の壁……。
どんなに笑っていても、目の奥で笑いの演技をして、素の自分をさらけ出したことがないのがあたし。
そんなだから親友も恋人もいない。
だから、クリスマスイブの夜も大晦日もあたしの夜勤は、ある意味当たり前だったのね。
そういえば、そのイブの晩、中学時代の同級生に会ったわ。
運び込まれた父親の見舞いだったようだけど、疲れ切ったような不機嫌そうな顔をしてたのよね。
なのに彼、帰るときには、むちゃくちゃいい表情になってた。
食事にでも誘おうかなって思ってたけど、やめた……。
あたしじゃあ、あんな顔はできない。並んでても、あたしがみじめなだけだもの。
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