長篠友美

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センターに戻ると、同僚が書類を整理しながら、何やら口ずさんでた。 超人気グループの結構前に流行った歌だ。 彼らのことは好きだけど、今はその歌は聴きたくなかった。 “ナンバーワン”はもちろん“オンリーワン”にもなれるあたしじゃない。 「お疲れーー、どうだった?」 「異常なし。今度はタヌキ寝入りだったわ。ねえ、紅茶飲む?」 「あ、お願い。私はミルクね」 「了解」 いつもなら、紅茶の香りで気持ちは落ち着くところなのに、今晩は簡単じゃない。 明日、ナースコールが鳴ったら、もう一度謝りにいこう。 あたしがそう決意した次の日の深夜だった。その事件が起こったのは……。
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